日ごとに日暮れが早くなり、虫の音に秋の気配を感じる頃となりました。
今月の写真は、長崎港から船で約40分のところに位置する端島(はしま)。通称「軍艦島」です。
長崎半島から西に約4.5km、三菱鉱業セメント(現在の三菱マテリアル)の子会社、三菱石炭鉱業株式会社の主力炭鉱があった高島から南西に2.5kmの沖合に位置する端島は、九州で最後に閉山した池島炭鉱や、今ではリゾートアイランドとして親しまれている伊王島と同様、明治日本の産業革命を支えた炭鉱島のひとつです。
2015年には「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一つとして世界遺産の文化遺産に登録されました。
その独特な風景から、映画「進撃の巨人」をはじめとした様々な映像作品のロケ地にもなっています。
端島では1810年頃に石炭が発見され、佐賀藩が小規模な採炭を行なっていました。その後、三菱合資会社により、本格的に端島炭鉱の歴史がスタートしたのが1890年。出炭量の増加に伴って人口も増えていくこととなりました。
狭い島で多くの人々が生活するため、1916年に日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅(30号棟)が建設されました。
その後も、ボタ(採掘の歳に出るや土砂や製品としては品質が不足している石炭などの岩石廃棄物)で島の周囲を埋め立てて島の面積を2.3倍にまで拡大し、鉄筋コンクリート造の高層住宅も需要に合わせて次々に建設されてゆき(「71号棟:小学校の体育館」が最後に建てられた建築物)、現在の軍艦のような景色が生まれました。
岸壁が島全体を囲い、高層鉄筋コンクリート造の建築物が立ち並ぶその外観が軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」呼ばれるようになったそうです。
その後起こったエネルギー革命により、エネルギーの需要が石炭から石油へ移ったことで、出炭量が徐々に減少し、人口も減少していきました。
炭鉱は1974年に閉山し、最盛期には5,200人もの島民がいた端島ですが、同年4月には無人島となりました。
現在では、観光定期船が運行しており、多くの方が上陸ツアーに参加して軍艦島を訪れています。
波の状況次第では上陸が難しく、船上からの見学となる場合もあるのですが、私が軍艦島に訪れたときは、天候にも恵まれ、貴重な遺産を目の前で見ることができました。
写真では伝えきれないほどの情緒ある風景を目前にし、本当に上陸出来てよかったと思いました。
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